論説文の頻出テーマ——知っているだけで読みやすくなる

論説文を読んでいて、「何を言っているのかさっぱりわからない」となる子と、「あ、この話知ってる」とスラスラ読める子がいます。この差はどこから来るのでしょうか。

もちろん読解力の差もありますが、意外と大きいのがテーマに対する予備知識の差です。論説文は「あるテーマについて筆者が意見を述べる文章」ですから、そのテーマについてある程度知っていれば、筆者の主張が予測しやすくなり、知らない言葉が出てきても文脈から推測できます。

そして、中学入試の論説文にはよく出るテーマがあります。これを事前に知っておくだけで、読解のハードルはかなり下がります。

目次

中学入試で頻出の5つのテーマ

①自然環境と人間の共生

「地球温暖化」「生態系の破壊」「持続可能な社会」といったテーマです。SDGsに関連する内容も増えています。

このテーマでの筆者の主張は、「人間の便利さの追求が自然を壊している」「自然と共存する道を探るべきだ」という方向に収まることが多い。結論の方向が予測できるだけで、文章の構造が格段に見えやすくなります。

②科学の進歩と人間の暮らし

AIやロボット、インターネットなど、科学技術の発展が人間の生活に与える影響を論じる文章です。

「科学は便利だが、それによって失われるものもある」「技術に頼りすぎず、人間らしさを大切にすべきだ」という主張が多い。最近はAIに関する論説文も増えてきています。

③言葉・コミュニケーション

「言葉の力」「言葉の変化」「対話の大切さ」といったテーマです。

「言葉は単なる道具ではなく、考え方そのものを形作る」「相手の立場に立ったコミュニケーションが大切」といった方向の主張が多く出ます。国語の試験にふさわしいテーマとして、多くの学校が好んで出題します。

④異文化理解・多様性

日本と外国の文化の違い、価値観の多様性をテーマにした文章です。

「違いを認め合うことが大切」「自分の常識が世界の常識とは限らない」という方向の主張が中心です。比較文化論として、日本の「空気を読む」文化と海外の「自己主張する」文化を対比する文章もよく出ます。

⑤子どもの成長・教育

自立、挑戦、失敗から学ぶことの大切さをテーマにした文章です。

「失敗を恐れずに挑戦することが成長につながる」「自分で考える力を育てることが大切」といった主張が多い。受験生にとって身近なテーマなので、比較的読みやすい文章が多いのも特徴です。

テーマ知識があるとなぜ有利か

筆者の主張を予測しやすい

上記のようにテーマごとに「よくある結論の方向」を知っていれば、「この文章はたぶんこういうことを言いたいんだろうな」と予測しながら読めます。予測しながら読むと、文章の構造が見えやすくなり、読むスピードも上がります。

知らない言葉を文脈から推測できる

テーマの背景知識があると、初めて見る言葉でも「この文脈ならこういう意味だろう」と推測できます。逆にテーマの知識がないと、知らない言葉が出てくるたびに理解が止まり、全体の意味がわからなくなってしまいます。

テーマ知識を増やす方法

新聞を活用する

朝日小学生新聞や読売KODOMO新聞は、上記のテーマを子供にもわかりやすく扱っています。毎日全部読む必要はありません。見出しを見て気になった記事だけ読む程度でも、テーマに触れる機会になります。

親子の会話に取り入れる

夕食時に「今日こんなニュースがあったよ」と話すだけでも効果があります。「環境問題について」「AIについて」と大きく構えなくても、「レジ袋有料化ってどう思う?」「ロボットに仕事を任せたらどうなるかな?」といった身近な問いかけで十分です。

入試に使われた本から読書する

中学入試で出題された文章の出典は公表されることが多いです。そのリストから気になる本を選んで読むのも、テーマ知識を広げる良い方法です。

注意:テーマ知識だけで解こうとしない

テーマ知識はあくまで「読みやすくする」ためのもので、「答えを出す」ためのものではありません。

最も危険なミスは、「知っている話だ」と思い込んで本文を丁寧に読まないことです。筆者の主張が予想と違う方向に進むこともあります。テーマ知識は活用しつつも、答えは必ず本文から根拠を探すという原則は崩さないでください。

まとめ

中学入試の論説文には頻出テーマがあり、自然環境・科学技術・言葉・多様性・成長の5つを押さえておくと、読解のハードルが大きく下がります。

テーマ知識は新聞や親子の会話で自然に増やせます。ただし、あくまで「読みやすくする補助」であり、答えは本文から探すという基本を忘れないようにしましょう。

あわせて読みたい
– 論説文の読み方——筆者の主張を見つける3つのステップ(記事07)
– 随筆文の読み方——論説文とも物語文とも違う「第3のジャンル」(記事21)
– 接続語・指示語を制する者が読解を制す(記事18)


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この記事を書いた人

東大理系学部卒。金融機関勤務。共働き、子供3人。
大学時代に中学受験国語の家庭教師を経験し、予備校の論理的読解メソッドを小学生向けに応用。
15年以上のブランクを経て、自分の子供の中学受験をきっかけに再び国語と向き合う。
ChatGPT・Claude・Geminiの有料プランを使い分け、記述添削や語彙学習にAIを活用中。「理系パパ × AI × 国語」の視点で、忙しい共働き家庭でも実践できる学習法を発信しています。

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