「読めない」の正体は、語彙力不足かもしれない
お子さんの国語のテストを見ていて、「なんでこんな問題を間違えるんだろう?」と感じたことはありませんか。
実は、読解問題で点が取れない原因の多くは、「文章の読み方を知らない」だけでなく、そもそも文章中の言葉の意味がわかっていないというケースが少なくありません。
中学入試の読解問題で使われる文章は、単行本や専門家の寄稿などから出題されており、小学校の教科書よりもはるかに難しい内容です。大人でも「うーん」と考え込むような文章が普通に出てきます。高校受験レベル、場合によっては大学受験初級レベルの文章が使われることも、もはや珍しくありません。
こうした文章を前にして、知らない言葉がいくつも出てきたら、内容を正確に読み取ることは難しいですよね。
語彙力がないと、何が起きるのか
語彙力が不足していると、具体的に次のような問題が起きます。
① 本文が正確に読めない
文章中に意味のわからない言葉があると、その段落全体の理解があいまいになります。筆者が何を言いたいのか、登場人物がどんな気持ちなのか、つかめなくなってしまうのです。
② 選択肢問題で「言い換え」に対応できない
選択肢問題では、本文の表現がそのまま使われることはほとんどありません。本文の内容を別の言葉で言い換えた選択肢が並びます。語彙力がなければ、「本文と同じことを言っている選択肢」を見抜くことができません。
③ 記述問題で表現力が足りない
答えはわかっているのに、うまく言葉にできない。記述問題では、本文の言葉を自分の言葉で言い換えて書く力が求められます。語彙が豊富な子は、ここで確実に得点を重ねていきます。
語彙力が高い子で国語の点数が低いということは、あまりありません。それくらい語彙力と国語の成績は関連しています。
家庭でできる語彙トレーニング 3つの方法
「じゃあ、語彙力を伸ばすにはどうすればいいの?」という話ですが、特別な教材を買い揃える必要はありません。日々の学習の中にちょっとした工夫を加えるだけで、語彙力は確実に伸びていきます。
方法① 塾のテキストや問題集で出会った言葉を、その場で確認する
語彙力を確実に高めていくのに最も効果的なのは、国語の授業や問題集で扱った文章を、すみずみまで丁寧に読むことです。
新しい単語帳を買う必要はありません。塾のテキストや模試の問題文の中には、お子さんがまだ知らない言葉がたくさん含まれています。問題を解いたあとの見直しのときに、知らない言葉が出てきたら必ずその場で意味を確認する。この習慣をつけるだけで、語彙は着実に増えていきます。
親としてできることは、見直しのときに「この言葉、どういう意味?」とさりげなく聞いてみることです。子ども自身が「わからない」と気づくきっかけを作ってあげてください。
方法② 例文ごと音読して、耳になじませる
言葉は、意味を知っているだけでは使いこなせません。例文と一緒に声に出して読むことで、その言葉が使われる文脈ごと体に染み込んでいきます。
たとえば、「疎外感」という言葉を辞書で引いて「仲間外れにされた感じ」と覚えるだけよりも、「転校したばかりで、クラスに疎外感を感じていた」という例文を声に出して読むほうが、はるかに記憶に残ります。
語彙ドリルや問題集を使うときも、できなかった問題は例文ごと音読して、覚えるまで繰り返すのがポイントです。
方法③ 親子の会話に取り入れて、日常で使う
覚えた言葉を日常会話で自然に使えるようになるのが理想です。
たとえば、テレビを見ているときに「この人、ちょっと後ろめたい気持ちがありそうだね」と声をかけてみる。お子さんが「後ろめたいって何?」と聞いてきたら、「やましいところがあって、気が引ける感じだよ」と教えてあげる。
こうしたやり取りの積み重ねが、語彙の定着につながります。漢字や語彙の学習は、早いうちから言葉に親しんでおくほうが、5年生・6年生で文章の難易度が上がったときに余裕が生まれます。
心情語は最優先で覚えよう
語彙の中でも、物語文の読解に直結する「心情語」は特に重要です。
物語文では、登場人物の気持ちを読み取る問題が中心になります。「嬉しい」「悲しい」のような基本的な言葉だけでなく、もう一段階大人っぽい感情表現を知っているかどうかで、得点に差が出ます。
たとえば、物語の中で主人公が友達の成功を素直に喜べない場面があったとします。このとき、「いやな気持ち」としか表現できない子と、「嫉妬を感じている」と言える子では、記述問題の精度がまったく違ってきます。
他にも、「疎外感」「後ろめたさ」「自己嫌悪」「郷愁」といった言葉は、大人なら日常的に使いますが、小学生にとっては馴染みがありません。こうした言葉が物語文の設問でそのまま使われることも多いので、意味を知っているだけで大きなアドバンテージになります。
一度にすべて覚える必要はありません。テストや問題集で出てきたときに「ああ、これ知ってる」と思えるレベルを目指しましょう。お風呂に入っているときや食事のときに、「”達成感”ってどんな気持ち?」と1日1つずつ親子でクイズにしてみるのも効果的です。
まとめ — 語彙力は「毎日の積み重ね」でしか伸びない
語彙力のトレーニングは、短期間で劇的に効果が出るものではありません。でも逆に言えば、コツコツ続ければ確実に伸びる力でもあります。
今日からできることはシンプルです。
- 問題の見直しのときに、知らない言葉が出てきたら必ず調べる
- 例文ごと音読して、耳で覚える
- 親子の日常会話に、少しずつ新しい言葉を取り入れる
特別な時間を取る必要はありません。普段の学習に「言葉に注目する」という意識を加えるだけで十分です。
語彙力は、国語だけでなく、すべての教科の土台になる力です。入試本番で見たことのない言葉に出会ったとき、「でも、だいたいこういう意味だろう」と推測できる子は、語彙の蓄積がある子です。
焦らず、でも毎日少しずつ。親子で言葉を楽しむ時間を作っていきましょう。
