「本文をちゃんと読みなさい」
国語のテストで間違えたとき、つい言いたくなる言葉です。
でも、子供にとっては「ちゃんと」がわからないのです。
自分なりに読んでいるつもりなのに、なぜか間違える。
それは「読み方」を知らないだけかもしれません。
実は、文章を正確に読むための技術は、たった4つの基本に集約できます。
今回は、その4つを具体的にお伝えします。
親御さんがこの4つを知っておくだけで、お子さんへの声かけがぐっと変わるはずです。
基本①:主語と述語を正確につかむ
文章の骨格は「主語」と「述語」です。
「誰が(何が)」+「どうした(どんなだ)」
この骨格がズレると、文全体の意味を取り違えてしまいます。
ところが、日本語には厄介な特徴があります。
主語がよく省略されるのです。
「朝から雨が降っていた。傘を忘れて走った。学校に着いたときにはびしょ濡れだった。」
2文目と3文目、主語が書かれていません。
大人なら「走ったのも、びしょ濡れなのも同じ人だな」と自然にわかりますが、子供はここで混乱することがあります。
親の声かけ
主語と述語をつかむ練習は、親の問いかけひとつで始められます。
「この文、『誰が』どうしたの?」
たったこれだけです。
コツは、まず述語を見つけてから、「誰が?何が?」と逆にたどること。
述語は文の最後にあることが多いので、見つけやすいのです。
主語が書かれていないときは、前の文から探す。
この「探す作業」を繰り返すことで、文章の骨格を取る力が自然と身についていきます。
基本②:指示語の内容を正確につかむ
「これ」「それ」「そのこと」「こうした」——
文章の中に出てくる指示語を、なんとなく読み飛ばしていませんか?
指示語は、読解問題で最もよく狙われるポイントのひとつです。
問題の作り手は、「この指示語が何を指しているか、正確にわかっているか?」を試しています。
基本ルール
指示語が指す内容は、ほとんどの場合、その指示語の「前」に書かれています。
「太郎は毎朝6時に起きて、犬の散歩に出かける。これが太郎の日課だ。」
→ 「これ」=「毎朝6時に起きて、犬の散歩に出かけること」
まずは「前を見る」を徹底するだけで、指示語の問題は大きく正答率が上がります。
ただし、例外もあります。
まれに後ろの内容を指す場合や、文章全体の内容をひとまとめにする場合もあります。
前を見ても答えが見つからないときは、後ろや段落全体に目を広げてみてください。
親の声かけ
「この『それ』って、何のことを言ってる?」
指示語が出てきたら、この問いかけを挟むだけでOKです。
最初のうちは親子で一緒に前の文を読み返しながら、「あ、これのことか」と確認する。
この積み重ねが、やがて子供がひとりで読むときの習慣になります。
基本③:接続詞に注目して文章の流れを追う
接続詞は、文章の「道しるべ」です。
次に来る文章が、前の内容とどういう関係にあるのかを教えてくれます。
接続詞を見れば、文章がどこに向かっているかがわかる。
これは読解において非常に大きな武器になります。
特に重要な接続詞の種類
全部覚える必要はありません。
まずは以下の3つの関係だけ意識してみてください。
① 逆接(前の内容と反対のことが来る)
「しかし」「ところが」「だが」「けれども」「でも」
→ 逆接の後には、筆者が本当に言いたいことが書かれていることが多い。
これは中学受験の国語で最も重要なポイントのひとつです。
「しかし」を見つけたら、その後ろに線を引くなどのマークを付けておく。
この習慣をつけるだけで、筆者の主張を見つける力が伸びます。
② 説明・補足(言い換えたり、理由を述べたりする)
「つまり」「すなわち」「要するに」「なぜなら」「たとえば」
→ 「つまり」「要するに」の後には、前の内容をまとめた表現が来ます。
ここは記述問題の答えに使えるキーワードが含まれていることが多いです。
③ 転換(話題が変わる)
「ところで」「さて」「では」
→ 話題が切り替わるサイン。段落のまとまりを意識するときに役立ちます。
他にも「順接(だから、したがって)」「並列・累加(そして、さらに)」「対比・選択(一方、あるいは)」がありますが、まずは上の3つから始めれば十分です。
親の声かけ
「この『しかし』の後に、筆者が本当に言いたいことが書いてあるよ」
「『つまり』の後を読んでごらん。まとめてくれてるから」
接続詞の意味を教えるのことも大事ですが、それ以上に、「接続詞の後を読む習慣」をつけさせることが大切です。
基本④:比喩表現がたとえている内容を確認する
「まるで氷のように冷たい視線を向けた。」
この一文、大人なら「怒っている」「拒絶している」と読み取れます。
でも子供は「氷?冷たい?寒いの?」と文字通りに受け取ってしまうことがあります。
2種類の比喩
比喩には大きく2つの種類があります。
直喩(ちょくゆ):「まるで〜のようだ」と、はっきりたとえる表現
→ 「まるで嵐のような拍手が起こった」
隠喩(いんゆ):「〜のようだ」を使わず、直接たとえる表現
→ 「教室は動物園だった」
どちらの場合も、確認すべきことは同じです。
「何が」「何にたとえられているのか」
そして、そのたとえを通して、筆者は何を伝えたいのか。
親の声かけ
「この『まるで〜』って、何をたとえているんだろう?」
「本当に動物園なのかな?どういう意味だと思う?」
比喩は子供にとってイメージしにくいものもあります。
無理に正解を求めず、「こういう意味かもね」と一緒に考える姿勢が大切です。
4つの基本の練習方法
ここまで4つの基本を紹介しましたが、いきなり全部を同時にやる必要はありません。
1週間に1つずつ、取り組んでみてください。
| 週 | テーマ | 意識すること |
|---|---|---|
| 1週目 | 主語と述語 | 「誰が、どうした?」を確認する |
| 2週目 | 指示語 | 「それ」「これ」が何を指すか確認する |
| 3週目 | 接続詞 | 「しかし」「つまり」の後を注目する |
| 4週目 | 比喩表現 | 「何を何にたとえている?」を確認する |
練習に使う素材は、新しい問題集を買う必要はありません。
塾のテキストや、過去に受けたテストの文章で十分です。
むしろ、一度読んだことのある文章のほうが内容を覚えているぶん、「読み方」に集中しやすいです。
最初は親子で一緒に取り組んでみてください。
慣れてきたら、子供がひとりで読むときにも自然と意識できるようになっていきます。
塾の指導が第一優先です
お子さんが通っている塾の指導を、常に最優先にしてください。
塾で「線の引き方」や「読み方のルール」を教わっている場合は、そちらに従ってください。
このブログでお伝えした4つの基本は、塾の指導と矛盾するものではなく、家庭で補助的に意識できるポイントとしてご活用ください。
まとめ
- 文章を正確に読む技術は「4つの基本」に集約できる
- ① 主語と述語を正確につかむ — 「誰が、どうした?」
- ② 指示語の内容を正確につかむ — まずは「前」を見る
- ③ 接続詞に注目する — 特に「しかし」「つまり」の後
- ④ 比喩表現を確認する — 「何を、何にたとえている?」
- 1週間に1つずつ取り組めばOK。塾のテキストで練習できる
この4つは、論説文でも物語文でも随筆文でも、すべてのジャンルに共通する基本です。
「ちゃんと読みなさい」ではなく、「今日は主語を意識して読んでみよう」。
声かけを少し変えるだけで、お子さんの読み方は変わっていきます。
次回は、「選択肢問題の攻略法 — キズ探しのテクニック」 をお届けします。
※読む力を鍛えるのに参考になる書籍は、別途「おすすめ教材」カテゴリでまとめる予定です。
