記述が白紙になる子は、実は多い
模試やテストの結果を見て、記述問題が白紙のまま返ってきた——そんな経験はありませんか。
「わからなかった」とお子さんは言うかもしれません。でも、よく話を聞いてみると、まったく何も考えていなかったわけではない。なんとなく「こういうことかな」とは思っていたけど、それをどう書けばいいかわからなかった、というケースがとても多いのです。
記述問題が苦手な子の多くは、読解力がないのではなく、書き方の型を知らないだけです。型さえ身につければ、白紙で出すことはなくなります。そしてここが大事なのですが、記述問題には部分点があります。完璧な答えでなくても、書けば点がもらえる。白紙はゼロ点ですが、何か書けば1点でも2点でも積み上がるのです。
なぜ白紙になるのか
記述問題で手が止まってしまう原因は、大きく3つあります。
① 完璧に書こうとしてしまう
「ちゃんとした文章で書かなきゃ」と思うあまり、最初の一文字が書けない。模範解答のような完成度を目指してしまい、結果として何も書けない。
② 何を聞かれているかがつかめていない
設問をざっと読んだだけで、何を答えればいいのか正確に理解できていない。「気持ちを書くのか」「理由を書くのか」がぼんやりしたまま、本文に戻っても手がかりが見つけられない。
③ 本文の言葉をそのまま使っていいことを知らない
「自分の言葉で書かなければいけない」と思い込んでいる子が多いです。でも実際には、本文中の表現を使って答えることはまったく問題ありません。むしろ、本文の言葉を的確に引用して使えることが評価されます。
ステップ① 設問を読み、何を聞かれているか確認する
記述問題に取り組むとき、最初にやるべきことは本文に戻ることではありません。まず設問をしっかり読むことです。
設問には、答え方のヒントが含まれています。
- 「〜の気持ちを答えなさい」→ 感情・心情を書く
- 「〜の理由を説明しなさい」→ 原因・根拠を書く
- 「どういうことですか」→ 傍線部の内容を言い換える
何を聞かれているかがわかれば、本文のどこを探せばいいかも見えてきます。お子さんが記述で手が止まっているときは、「まず、何を聞かれてる?」と声をかけるだけで動き出すことがあります。
ステップ② 本文から答えの根拠を探す
何を聞かれているかがわかったら、次に本文から答えの手がかりを探します。
最も重要な原則は、答えは本文の中にあるということです。自分の頭で想像して書く問題ではありません。
手がかりを探すコツは、傍線部の前後をていねいに読むことです。特に傍線部の直前の2〜3文には、理由や背景が書かれていることが多いです。傍線部の直後にも、補足的な説明が続いている場合があります。
傍線部から離れたところに根拠がある場合もありますが、まずは前後を重点的に確認する習慣をつけましょう。
ステップ③ 本文の言葉を使って、短く書いてみる
根拠が見つかったら、いよいよ書く段階です。ここで大事なのは、最初から長い文章を書こうとしないことです。
まずは1文でいい。本文の中から使える表現を拾って、短く書いてみる。
たとえば、「主人公はなぜ泣いたのですか」という設問に対して、本文に「ずっと我慢していた気持ちがあふれ出した」と書いてあったなら、「ずっと我慢していた気持ちがあふれ出したから。」と書くだけで、立派な解答になります。
自分の言葉で言い換えようとして的外れになるよりも、本文の言葉を正確に使って書くほうが、ずっと得点につながります。
ステップ④ 設問の形に合わせて文末を整える
書いた答えの文末を、設問に合わせて整えます。これだけで答えの完成度がぐっと上がります。
コツはシンプルで、設問の聞き方をそのまま文末に反映させることです。たとえば「なぜですか」と聞かれたら、答えの最後は理由で終わるように書く。「どんな気持ちですか」と聞かれたら、気持ちの言葉で締める。設問が求めている形に合わせるだけで、的外れな答えになりにくくなります。
お子さんが記述を書いたあとに、「最後の部分、聞かれてることに合ってるかな?」と声をかけるだけでも効果があります。
ステップ⑤ 書いた答えと模範解答を比べる
記述力を伸ばすうえで最も大切なのは、実はこのステップです。
答え合わせのときに、自分が書いた答えを消さずに残したまま、模範解答と見比べる。何が足りなかったのか、どの要素が抜けていたのかを確認する。
大事なのは、自分が書いた答えを消さないことです。消してしまうと、どこが間違っていたのかが振り返れなくなります。自分の答えを残したまま、模範解答と横に並べて見比べる。「自分の答えには何が足りなかったのか」「どの要素を入れ忘れていたのか」を確認する。この比較作業が、記述力を伸ばす一番の近道です。
もし模範解答と自分の答えがかなり違っていた場合は、模範解答をじっくり読んでみてください。「この答えは、こういう組み立て方をしているんだな」と、正解の構造を意識するだけでも力がつきます。
この見直しは親子で一緒にやるのがベストです。「ここまでは合ってるね。あとこの部分が書けていたら満点だったね」と、できている部分を認めながら進めてください。
親の声かけ — 「全部書けなくていい」と伝える
記述問題に対するお子さんの心理的なハードルを下げることが、親にできる最大のサポートです。
- 「全部じゃなくていいから、わかるところだけ書いてみよう」
- 「白紙だと0点だけど、何か書けば点がもらえるよ」
- 「本文の言葉をそのまま使っていいんだよ」
完璧を求めず、「まず書く」ことを応援する。これだけでお子さんの記述に対する姿勢は変わってきます。
まとめ — 白紙ゼロが最初の目標
記述問題の攻略をまとめると、次の5ステップです。
- 設問を読む — 何を聞かれているかを確認する
- 根拠を探す — 傍線部の前後から手がかりを見つける
- 短く書く — 本文の言葉を使って、まず1文書いてみる
- 文末を整える — 設問の形に合わせて「〜から」「〜気持ち」で締める
- 模範解答と比べる — 足りなかった要素を確認し、青ペンで解き直す
最初の目標は、「白紙をゼロにする」こと。100点の答えを目指す必要はありません。部分点を1点ずつ積み重ねる意識が、やがて大きな得点力につながります。
記述問題は、書けば書くほど上達します。まずは「何か書いてみよう」から始めましょう。
