模試やテストで、論説文や物語文はそこそこ解けるのに、随筆文になると急に点数が落ちる。そんなお子さんは多いのではないでしょうか。
論説文なら筆者の主張を探す。物語文なら登場人物の気持ちを追う。でも随筆文は、その「どちらの読み方で読めばいいのか」がわからない。「読み方がわからないまま、なんとなく読んでいる」という状態になりがちです。
逆に言えば、随筆文には随筆文の読み方があり、それを知るだけで安定して点が取れるようになります。今回は、その読み方を親子で実践できる形でお伝えします。
随筆文とは何か——まずジャンルの特徴を知る
随筆文とは、筆者自身が体験したことや日常で感じたことをもとに、自分の考えや思いをつづった文章です。
中学入試では、論説文・物語文と並んで出題されるジャンルですが、子供にとっては一番つかみどころがない文章でもあります。その理由を、他のジャンルと比べると見えてきます。
論説文は、「環境問題について」「言葉の力について」といった社会的なテーマに対して、筆者が根拠を示しながら主張を展開します。文章の構造が比較的はっきりしていて、「つまり」「したがって」といった接続語が主張の目印になります。
物語文は、架空の登場人物がいて、出来事を通じて気持ちが変化していく様子を描きます。場面転換がわかりやすく、「誰が」「何をして」「どう感じたか」を追えばよい。
一方、随筆文は、筆者本人の実体験と、そこから生まれた本音の思いが混ざり合っています。論説文のようにキーワードが繰り返されるわけでもなく、物語文のように場面が切り替わるわけでもない。だから子供は「どこに注目すればいいのかわからない」となるのです。
でも、実はシンプルなコツがあります。
随筆文を読むときの3つの意識
随筆文を読むときに持っておきたい意識は3つだけです。
意識①:「体験パート」と「考えパート」を見分ける
随筆文は、大きく分けると2つの要素で構成されています。
ひとつは「体験パート」。「〜した」「〜があった」「〜を見た」という、筆者が実際に経験したことの叙述です。
もうひとつは「考えパート」。「〜と思う」「〜ではないだろうか」「〜に気づいた」という、筆者がその体験を通じて感じたことや考えたことです。
随筆文では、この2つが交互に出てきたり、体験の中に考えが織り込まれていたりします。まず読みながら「ここは何があったかの話だな」「ここは筆者が考えていることだな」と意識して分けるだけで、文章の構造がぐっと見えやすくなります。
お子さんには「事実の話と、気持ちの話を分けてみよう」と声をかけてあげてください。
意識②:筆者が一番伝えたいことを探す
随筆文では、体験をいくつか述べた後に、筆者の「一番言いたいこと」が書かれていることが多いです。
見つけ方のヒントは文末表現です。
- 「〜だと思う」「〜と感じた」→ 筆者の感想・意見
- 「〜ではないだろうか」「〜かもしれない」→ 筆者の問いかけ・主張
- 「〜に気づいた」「〜を知った」→ 体験から得た学び
これらの表現が出てきたら、「ここが筆者の言いたいことかもしれない」と意識して読みましょう。特に文章の終盤にまとめ的に出てくる場合は、そこが結論であることが多いです。
意識③:体験と考えの「つながり」を掴む
3つの中で最も大事なのが、この「つながり」です。
随筆文の設問の多くは、「筆者はなぜそう思ったのか」「筆者の考えの根拠は何か」を問うています。これに答えるには、「どの体験が、どの考えにつながっているか」がわかっていなければなりません。
たとえば、筆者が「子供の頃に田舎で見たホタルの体験」を語った後に、「便利さと引き換えに失われるものがある」と述べていたら、ホタルの体験が「便利さへの疑問」につながっている、ということです。
この「体験→考え」の流れを掴めれば、随筆文の設問の大半に対応できます。
よく出る設問パターンと答え方
随筆文で出題される設問には、いくつかの典型パターンがあります。
パターン1:「筆者はなぜ〜と感じたのですか」
答えの根拠は体験パートにあります。筆者がどんな体験をして、その感情が生まれたのかを本文から探しましょう。「考えパート」ではなく「体験パート」に戻るのがポイントです。
パターン2:「筆者の考えをまとめなさい」
答えの根拠は考えパートにあります。体験の具体的なエピソードをそのまま書くのではなく、筆者が体験から導き出した考えや思いをまとめます。
ありがちなミスは、体験の内容をそのまま書いてしまうこと。「ホタルを見た話」を書くのではなく、「便利さの中で自然とのつながりを失っていることへの危機感」のように、考えの核心を抽出しましょう。
パターン3:「下線部の表現にはどのような効果がありますか」
随筆文では、筆者が独自の比喩や言い回しを使うことがよくあります。「〜のようなものだ」「〜と言ってもいい」といった表現が下線部になった場合、「何をどう言い換えているか」を考えましょう。
家庭でできる随筆文の練習法
随筆文の読み方は、日常の中でも練習できます。
新聞コラムを親子で読む
天声人語や編集手帳のような新聞コラムは、短い随筆形式で書かれています。300〜400字程度で「体験→考え」の構造が凝縮されているので、練習素材として最適です。
親子で読んで、「事実の部分はどこ?」「筆者の意見はどこ?」と分けてみてください。最初は親がやって見せるのが効果的です。
「今日の出来事」を随筆風に話す
夕食時に「今日こんなことがあって、こう思った」と親が話すだけでも、随筆的な思考に触れる機会になります。体験と感想をセットで話す習慣は、随筆文の構造を自然に理解する助けになります。
お子さんにも「今日あったことで、何か思ったことある?」と聞いてみてください。「出来事+感じたこと」を言葉にする練習になります。
まとめ
随筆文は、「体験パート」と「考えパート」を見分け、その「つながり」を掴む。これだけ意識すれば、安定して解ける文章ジャンルになります。
論説文の読み方、物語文の読み方と合わせて、3つのジャンルの読み方を身につけましょう。どんな文章が出ても慌てずに対応できるようになります。
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