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【中学受験国語】グラフ・会話文・ノート型の新傾向問題——初見で固まらないための家庭の構え
入試問題を開いたら、文章の横にグラフが載っていたり、生徒どうしの会話が並んでいたり、だれかのまとめノートが資料として出ていたり——そんな「見慣れない形式」の問題が、近年すこしずつ増えていると言われています。こうした出題は新傾向問題などと呼ばれ、保護者の方が「これは新しい力が必要なのでは」「特別な対策本を買わないと無理かも」と身構えてしまうことも多いようです。
ただ、形式は新しく見えても、解くために必要な土台は、これまでの読解力とそれほど変わらないように感じます。この記事では、新傾向問題とはどんなものかを整理したうえで、家庭で身構えずに向き合うための視点を3つにしぼって書いてみます。
新傾向問題ってどんなもの?
新傾向問題と一口に言っても、出方はいくつかあるようです。よく見かけるのは、次のようなタイプです。
- 文章といっしょにグラフや表、写真などの資料が出てきて、本文と資料を結びつけて答えるもの
- 生徒どうしの会話や話し合いの場面が題材になり、だれの発言がどういう意味かを読み取るもの
- 複数の文章を読み比べて、共通点や違いを答えるもの
- だれかのまとめノートやメモが資料として示され、そこから考えるもの
共通しているのは、「ひとつの文章をまっすぐ読む」だけでなく、複数の材料を行き来しながら考える点です。文章だけでなくグラフや会話も「読む対象」になった、と考えると分かりやすいかもしれません。
最近は、知識をたくさん覚えているかよりも、初めて見る材料をその場で読み解く力を見たい、という出題のねらいが背景にあるとも言われています。
形式は新しくても、土台は今まで通り
ここがとくにお伝えしたいところです。形式が目新しいぶん難しそうに見えますが、設問そのものは、落ち着いて読めば手が届く範囲に収まっていることが多いようです。
グラフが出てきても、聞かれているのは「何が増えて何が減ったか」だったり、会話文でも「この子は結局どう考えているか」だったりと、問われている中身は、ふだんの読解と大きくは変わらないことが多いようです。むしろ、見慣れない形式に驚いて、読む前から「むずかしい」と感じてしまうことのほうが、点を落とす原因になりやすいように思います。
だとすれば、家庭でできることは、特別なテクニックを覚えさせることよりも、初めての形式に出会っても動揺しすぎない構えを、すこしずつ作っておくことなのかもしれません。次の3つの視点は、そのための小さな手がかりです。
視点1:資料は「題と軸」を先に声に出す
グラフや表が出てきたとき、子どもはつい数字の細かいところから見てしまいがちです。そうすると、全体が何を表しているのかが分からないまま、迷子になってしまうことがあります。
そこで役立つのが、本文を読む前に「これは何のグラフ?」「たての線と横の線は、それぞれ何を表している?」と、声に出して確認させることです。タイトルと、たて軸・横軸が何かをつかむだけで、資料の全体像はぐっと見えやすくなります。
家庭では、丸つけのときに「このグラフ、ひとことで言うと何の話だった?」と聞いてみるくらいで十分です。子どもが資料の中心を一言で言えれば、読み取りの入り口はうまくいっていると考えてよいのかもしれません。
視点2:会話や複数の資料は「だれが何を言ったか」を整理する
会話文や複数の文章が出てくる問題は、情報が分かれて置かれているぶん、頭の中がこんがらがりやすくなります。
ここで効くのが、整理しながら読む習慣です。だれの発言なのか、それぞれが何を言っているのかを、短い印やメモで仕分けながら読む。算数で長い問題文を線分図に整理するのと、考え方はよく似ています。ばらばらの材料を、いちど自分の手元で並べ直すわけです。
こうして「具体的な情報を、自分の言葉でざっくりまとめ直す」作業は、ふだんの読解で言えば、具体と抽象を行き来する力そのものです。この力については「具体と抽象」の行き来ができると国語が楽になるでくわしく書いているので、あわせて読んでみてください。新傾向問題のためだけに特別な練習をしなくても、ふだんの読解の延長で備えられる部分が多いように感じます。
視点3:初見で固まらない・空欄で逃げない
新傾向問題でとくにもったいないのは、見たことのない形式に驚いて、手が止まったまま空欄で出してしまうことです。解答欄や見慣れない図を前にすると、読む前から諦めてしまう子も少なくないようです。
ここで親ができるのは、内容そのものを教えることよりも、「わからなくても、まず分かるところだけ書いてみよう」という構えを、ふだんから伝えておくことかもしれません。新傾向問題は部分点がつくことも多いようなので、空欄よりは、一部でも書いてあるほうが拾える可能性が残ります。
そしてもう一つ、家庭で意外と大事なのが、親自身が「見たことない形式だね、おもしろそうだね」と落ち着いて構えることです。親が身構えると、子どもも「これは特別にむずかしい問題だ」と感じてしまいがちです。逆に、親が軽く受け止めていると、子どものほうも初見の問題に向かいやすくなるように感じます。同じ「初めて見る形式」という意味では、抜けた一文を戻したり文を並べ替えたりする問題にも通じるところがあります(→抜けた一文を戻す・文を並べ替える問題)。
まとめ——特別な対策より、落ち着きと普段の読解
- 新傾向問題は形式が新しいだけで、問われる中身はふだんの読解と大きく変わらない
- 資料は「題と軸」を先に確認、会話や複数資料は「だれが何を言ったか」を整理する
- とくに大事なのは、初見で固まらない構え。親も身構えず、軽く受け止める
新しい形式の問題が増えていると聞くと、つい身構えてしまいますが、特別な対策本をそろえなくても、ふだんの読解とちょっとした構えで向き合える部分は大きいように感じます。毎回きちんと練習させようとしなくても大丈夫です。見慣れない問題に出会ったときに、親子で落ち着いていられること自体が、立派な準備になっているのだと思います。
