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原稿用紙を前に、鉛筆が止まったまま動かない。夏休みの宿題の中でも、読書感想文は後回しになりやすい代表格のようです。実際、感想文を手伝う親は6割を超えるという民間の調査もあり、「あらすじばかりになってしまう」「『おもしろかった』の先が出てこない」という場面に心当たりのあるご家庭は、多いのではないでしょうか。
そこで頼りたくなるのが生成AIですが、先に立ち位置をはっきりさせておきます。感想文そのものをAIに書かせる使い方は、この記事ではおすすめしません。 文部科学省のガイドラインでも、AIが生成した文章をそのまま感想文として提出することは不適切とされています。書くのは子供。AIが受け持つのは、その手前にある「感想を引き出す質問」の下ごしらえだけ——この分担で進めます。
なぜ「書かせない」のか
AIに文章を作らせることへの抵抗感は、多くの親が持っているようです。その感覚は、大切にしてよいと考えています。感想文は、本を読んで動いた気持ちを自分の言葉に置き換える練習の場で、これは物語文の記述問題で心情を言葉にする力とも地続きのように思うからです。仕上がりの立派さよりも、「自分の言葉で書いた」という事実のほうが、あとに残るもののように思います。
一方で、親の手伝いの実態を見ると、負担の中心は「感想を引き出す会話」と「構成の整理」に集中しているようです。そしてこの部分は、AIの下ごしらえが効きやすい部分だと考えています。
プロンプトは1つだけ
この記事で使うプロンプトは、次の1つだけです。本のタイトルと、子供の第一声を入れて送ります。第一声は「おもしろかった」だけでかまいません。
小学6年生が読書感想文を書きます。本は「(タイトル)」です。
本人の最初の感想は「(子供の一言)」でした。
この子の感想を引き出すための、やさしい質問を5つ作ってください。
「はい・いいえ」で終わらない聞き方にして、
本の内容を決めつけた質問は入れないでください。
返ってきた5つの質問から、親が2〜3個を選びます。選ぶ基準は「その子が答えやすそうか」だけでかまいません。
質問→会話→メモ→子供が書く
選んだ質問は、机の前ではなく、夕食のときや寝る前に1つずつ口頭で聞くのが使いやすいようです。「どの場面で気持ちが動いた?」「もし自分だったらどうした?」——親は聞き役に回って、答えを言わないのがこつです。口で言えたことは、そのまま原稿用紙に書き起こしやすくなると言われています。これは入試の課題作文でも同じで、書く前の1往復の会話が助けになるようです(→入試に出る作文・自由記述のコツ)。
子供の答えは、短い単語のメモにして残しておきます。いざ書く段になって「メモをどの順番で並べるか」で手が止まったら、そこだけAIに相談させる手もあります(こちらは任意です)。本文の文章は、あくまで子供が自分の言葉で書きます。
親の作業は3つ、合わせて10分ほど
- AIが作った質問に、本の内容を勝手に決めつけたものが混ざっていないかを眺める(30秒。読んでいない本でも、質問として不自然でないかは見当がつきます)
- 5つの質問から2〜3個を選ぶ(1〜2分)
- 夕食のついでに1つずつ聞く(5〜10分。1日でやり切らず、2〜3日に分けてかまいません)
会話が乗らない日は、翌日に回して大丈夫です。「うまく聞き出さなければ」という準備の負担をAIが肩代わりしてくれるので、親に残るのは、聞いて、うなずく役だけです。食卓の会話をAIで仕込んでおくという発想は、ニュースの話題づくりでも使えます(→今週1本のニュースをAIで親子の食卓会話に)。
まとめ——書くのは子供、AIは質問役、親は聞き役
- 感想文そのものはAIに書かせない(そのまま提出することは不適切とされています)
- AIの役割は「感想を引き出す質問」の下ごしらえまで。プロンプトは1つ
- 親は質問を選んで、聞き役に回るだけ。合計10分ほど、数日に分けてOK
- つたなくても、自分の言葉で書けたことをまず認めてあげたいところです
嫌われがちな宿題ですが、質問がそろってさえいれば、子供の口から出てくる言葉は案外多いようです。感想文が「家族で本の話をした思い出」に変わったら、それはこの夏のちょっとした収穫になるかもしれません。
